熊本の県南に位置する芦北・津奈木・水俣エリアは豊かな海や山がある『食材の宝庫』。この連載は、その時期に旬の食材の生産者と、その食材を使った料理を提供するお店を紹介するシリーズです。取材協力:水俣・芦北観光応援社
芦北で生まれるブランド牛
その魅力とは?
前回に続き紹介する、熊本県南部の町・芦北。この町では、上質な黒毛和牛を育てており、その和牛をリーズナブルに提供する『レストラン ぎゅーぎゅー亭』というお店があります。

ここは芦北I.C.からすぐの『ファーマーズマーケット でこぽん』内にあるJAあしきたが運営するレストランで、芦北が誇るブランド牛「あしきた牛」をリーズナブルに提供しています。数ある料理の中でも人気なのが、あしきた牛と野菜炒めが楽しめるボリューム満点の “焼肉定食”(1,380円、ご飯・みそ汁付き)。

ジューシーなあしきた牛の持つ肉の旨みが噛むたびに口いっぱいに広がります。甘口と辛口から選べるタレも相まってご飯の箸が止まりません。また、きれいな“サシ”が入った“サーロインステーキ”(3,980円、ご飯、スープ付き)は、驚くほど柔らかく、脂の甘味と肉の強烈な旨味が至福のひと時に誘ってくれるはず。他にも色々な部位が楽しめる焼肉セットや、冬には、あしきた牛を使ったすき焼きやしゃぶしゃぶ(どちらも事前予約)も登場するそう。



インタビューに答えてくれたのは、スタッフの向川竜秀さん。あしきた牛を調理するときに気をつけているのは、火加減や火入れの時間などで、まだまだ研究の日々だそう。そんな向川さんにあしきた牛の魅力を尋ねてみると、「まずは甘味のある脂ですね。あしきた牛は、全国的に見てもとても上質な和牛だと思います。そのお肉を県内外多くの方に知っていただきたいので、お店ではできるだけリーズナブルに提供できるよう努めています」と地元・芦北への愛を感じる答えが返ってきました。
「肉を知っているのは生産者の皆さんなので、食べに来ていただいたときに教えていただいたことは参考にさせていただいています」と生産者さんとの交流の大切さも語ってくれました。

JA熊本経済連が開催する「肉畜枝肉共励会」で過去10年間に7度のグランドチャンピオン受賞するほどの実力を持つあしきた牛が、どのように育てられているのか、また後世へとどのように繋がっていくのか知りたくなったので、とある人にお話を聴きに向かいました。
「愛が育てる、あしきた牛」
生産者一体となって守り続ける
芦北の山の中で迎えてくれたのは、30年以上畜産に携わるJAあしきた畜産部会部会長の川口誠二さん。現在、約190頭のあしきた牛を育てており、芦北の畜産で最前線にいらっしゃる川口さんに、あしきた牛の現状についてお話を聴きました。


「私は30年以上前に、父から受け継いでこの世界に入りました。当時はあか牛やホルスタインを育てていましたが、時代の流れとともに、人気になっていった黒毛和牛の肥育に徐々に移行していきました。現在では、黒毛和牛のみになり、繁殖から肥育までを行っています」と川口さん。
では、良い和牛に育てるために気をつけていることはあるのでしょうか?
「毎日、病気にならないよう気を配りながら1日2回の餌やりをしています。牧草を中心に、配合飼料を与えています。また、芦北の山の湧き水を使用しているので、それが良い肉質になる要素かもしれません。また、牛はストレスに敏感なので、スプリンクラーを入れて牛舎の温度を管理し、日中はクラシックを聴かせながらリラックスさせるなど、できるだけストレスを与えない環境づくりを心がけています」と教えてくれました。

また、これからのあしきた牛ついて尋ねると「今、肥育だけをやっている農家は少なくなってしまいましたが、後継者となって次につながる若手が9名います。彼らを含めて今いる農家が一体となって“あしきた牛”を広めていきたいですね。そのためにも、2年前から肥育と繁殖の部会がひとつになり、芦北生まれ、芦北育ちの黒毛和牛を肥育して、「ファーマーズマーケット でこぽん」で提供することで、このあしきた牛のブランドをもっと広めていきたいと思っています」。
肉の持つ可能性を最大限に引き出そうとするレストラン。そして愛情を注ぎながら牛を育てる農家の皆さん。芦北の畜産を支える人たちは、明日の希望に向かって歩みを進めていました。
Information
レストラン ぎゅーぎゅー亭
- 住所
- 葦北郡芦北町大字佐敷443
- 電話番号
- 0966-82-3691
- 営業時間
- 11:00~15:00(オーダーストップ14:30)/17:00~21:00(オーダーストップ20:00)
- 休み
- 火曜
- 席数
- 95席
- 駐車場
- 多数有り
- リンク
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