カウンター越しに引き出されるのは旨い酒か、夜咄か

今宵の一軒の決め手になるものは何か。
旨い酒、美味しい料理、適正な価格。
どれも大事だが、酸いも甘いも噛み分けた大人には、居心地の良いカウンターがある店がいい。
店主との距離感はつかず、離れず、丁度よく。
絶妙なタイミングで出される料理を口に運べば、一杯、また一杯と盃が重なるはず。
酒にほだされてつい、するすると本音も出る。
とっておきの夜咄(よばなし)が始まったころ、店主の〝隠し酒〟も引き出されるようだ。
ちなみにこれは、練兵町にある「もぐら」の話。

やみつき度の高い黒毛和牛&雲丹の妙に日本酒も進む

熊本に遊びに来る大切な友人を案内する時。得意先とのちょっとかしこまった会食や接待が決まった時。ありふれた日々のなかの特別な夜を、首尾上々に運んでくれる名店が『もぐら』だ。仕事を終え、逸る(はやる)気持ちを抑えて扉を開けると、印象的な巨岩の向こうに広がる木のカウンターに思わずホッとする人も多いだろう。
和食ひと筋23年目。幼い頃から料理人を目指していた店主・澄田義治さんは、年を重ねても包丁を握り続けたいと、フレンチでも中華でもなく日本料理の道へ進んだ。自身の店を構えて6年。晴れて夢を叶えたいま目指す店の形とは。「お客様が『もうこんな時間?』と驚くほど、時間を忘れて楽しめる店」と笑顔を見せてくれた。
修行時代から、素材選び、器選びへのこだわりは尽きない。自ら市場へ出向くことも多く、店で使用する有田焼きの器は月に一度は新調。それでも酒の肴を500円台から用意したり、子ども連れにも喜ばれる個室を完備したり、メニューに載らないリクエストを受けてくれたり……。いろんな世代の人たちが、ついつい通ってしまう貴重な店なのだ。特にカウンターでは、季節の移ろいを感じる誠実な料理がテンポ良く運ばれ、会話が深くなればレアな〝隠し酒〟が登場することも。カウンター越しの店主は今宵も、楽しみ方をお客さんにゆだねてくれる。






Information
和彩旬香 もぐら
- 住所
- 熊本市中央区練兵町52-2
- 電話番号
- 096-319-3737
- 営業時間
- 18:00〜23:00(昼の祝い事・宴会は応相談)
- 休み
- 不定
- 席数
- 67席
- 駐車場
- なし
- 備考
- 個室/9室(2〜48名)
喫煙/1階禁煙、2階可
予約/可
【MENU】
ディナー/豆富と大根の揚げだし620円、あそび豚のコンフィといろいろ木ノ子のサラダ950円、黒毛和牛サーロインのレアカツ2,700円
コース/旬香もぐら会席5,400円、もぐらの名物付会席6,480円、贅沢もぐら会席7,560円(全てのコースに飲み放題付)