
求めていたのはこんな場所!
一人でひっそり訪れたい食堂

『ことぶき』、その言葉を聞いて、私の脳裏をよぎるのは「めでたい」のひと言。今日はどこに飲みに行こうか、なんて考えながら街なかを徘徊する私の目に留まった、小さな看板。「お一人でもどうぞ」と、そこに書かれた文字が私に「飲みに来い」と訴えかけてくる。ついついその言葉につられて5階へ。エレベーターを降りてすぐにある扉を開けるとそこには、実家のリビングのような、どこか懐かしさを感じる空間が広がっていた。カウンター4席、テーブル席2つのこぢんまりとした場所。さぁ、早速何を飲もうか。もちろん答えは決まっている。瓶から注がれる黄金色のアルコールに思わず喉が鳴る。ここでは「麒麟とアサヒ、どちらがいいですか」と聞かれるようだ。ちなみに私は麒麟派。
私が何度でもまた通いたくなるお店を選ぶ基準の第一位は“店主の人柄”だ。私が「ひとり酒」を好む理由は、一人でしっぽり飲みたいからでもなく、夕食を兼ねて行くわけでもない。そこで出会う人との会話を楽しみたいから。この店はそれが叶う最適な場所といえる。元看護師だという店主は、誰に対しても分け隔てなく接してくれ、太陽のような笑顔で迎え入れてくれる。
ここで驚いたのは、品数の多さだ。一人で切り盛りしているにもかかわらず、50種類以上がメニューに並ぶ。しかも価格が安い。メーン料理のほとんどが550円や660円のものばかり。さらに量も多い。店主曰く「わざわざ5階まで上がってきてもらうので、お腹いっぱいになるまで食べてほしいんです」と。女神でしょうか。ドレッシングやポン酢まで自家製というこだわりもさすがで、自分が美味しいと思うものを、自信を持って提供したいという店主の想いの表れだろう。私が注文した“根菜とキノコとベーコンのグリルサラダ”は絶対女子が好きなもの。もはやサラダの枠を超えた、メーンにもつまみにもなる逸品だ。女子と言わず皆好きかもしれない。漬物も全て330円で、特に“梅ザーサイ”は延々ハイボールが飲めるくらい最高の肴だ。つまり、このお店と店主に出逢えた今日は、私にとって、非常に「めでたい」日になった。
≪ひとり酒DATA≫
●カウンター席数:4席 ●単品:330円~
●おひとり様割合:30% ●客単価:約2,000円


今月のお気に入り
ことぶき食堂
- 住所
- 熊本市中央区下通1-2-8 第3森山ビル5F
- 電話番号
- 096-359-3333
- 営業時間
- 17:00~翌2:00(オーダーストップ翌1:30)
- 休み
- 日曜
- 席数
- 12席
- 駐車場
- なし
- 備考
- カード利用:不可