1. Home
  2. ライフ
  3. 第二話「生産者は料理人の大切なパートナー」

こだわりシェフのつぶやきエッセイ「ただいま畑へ出かけております」

第二話「生産者は料理人の大切なパートナー」

【ただいま畑へ出かけております】

  • 情報掲載日:2019.12.20
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。
文/ほんだひろゆき
Profile

花小町オーナーシェフ。
2004年植木町北区役所前に「花小町」をオープン。熊本の食材に向き合い土地独自の料理を追及する傍ら様々なジャンルのシェフたちとのコラボ食事会をはじめ、県外にて熊本の食材とワインの食事会等、精力的に活動する。月曜夜開催の料理教室も人気だ。

第二話「生産者は料理人の大切なパートナー」

 生産者さんから食材を直接取引きさせてもらう時、お伝えする約束事が一つだけある。
 「必ず儲かる値段で食材を下さい」 これに尽きる。
 料理人は食材が無ければ料理は作れないし創造できないのだ。生産者ありきの職業、いわばパートナーと言えると思う。 
 パートナーの食材に直接お金を支払い、それを料理に変え、目の前のお客様に召し上がって頂く。
 店で過ごして頂く時間を僕は適正価格で頂戴することでまた食材を仕入れることができる。より一層、お客様、生産者、料理店の幸福好循環が生まれると思うし、それをずっと目指してきた。素敵だなあと思う。
 そのパートナーでもう10年以上お付き合いして頂いてる地元植木町の生産者、「プリンセスポーク 前田牧場」の前田和彦さんは僕にとって大事な存在の一人。
 年は僕の一つ下だが、実家が近く毎日登校班で小学校へ一緒に通ってた仲だ。店を始めた頃から必ず使いたいと思ってた食材の一つで当時はまだプリンセスポークという名前もついてなかった。様々なメディアに幾度ととなく一緒に登場したし、いわば歴史を一緒に歩んでる人。花小町=プリンセスポークと認識されてる方も多いことだろう。
 最近のマイお気に入りは骨付きロース肉を河内町の塩屋一番の海苔入り生地で覆い包み
 時間をかけてじっくりと焼きあげる料理だ。黒い塊から骨が突きでてる奇妙なフォルムだが、切ってみると中からほんのりピンク色の豚肉が肉汁をじゅわ~っと滴らせながら顔を出す。
 ソースは豚のコンソメにブランデー、バターを加えてコクとリッチさをプラス、仕上げにもう一度海苔を加えて伝えたいことを明確にする。肉と海苔、一見邪道で奇妙な組み合わせに思えるだろうが、これがなかなかの相乗効果。ああ、生産者ありきの熊本肉料理だなあ、と1人にやにやしながらソースをかけている。熊本には素晴らしい豚肉がたくさんあるし、旨いなあ、熊本すげえなあ、とよく思う。でもね、うちにはプリンセスなんです。プリちゃんなんです。
 何でって? 信頼してるから。
 毎月「どーもどーも」とわが子を届けてくれて、たまにわがままを聞いてもらい、定期的に旨く焼いてるかって食べに来てくれる。深夜まで一緒にワインを傾けるお付き合い。極端な話、前田さんが野菜農家になろうが魚屋になろうが、もうなんでもいいんです。あなたのだったら買うから。信頼関係ってそういうことだと思う。
 そしてそんな生産者さんが何人もいてくれる。本当にありがたいことだし僕にはそれを美味しくしてあげる義務がある。
 世の中はもう師走。毎年のことながら忘年会、クリスマス、お節作りと怒涛の年末を迎える。今年一年を振り返りながら、皆さんお世話になりましたと感謝の気持ちを込めて仕込みに明け暮れる毎日だ。

関連記事

SNS