素敵な人は、「暮らし」もきっと素敵なはず。
毎月1軒のお家にお邪魔して、熊本で素敵に暮らす人たちのライフスタイルをのぞき見。
そこには住む人たちそれぞれの居心地の良い空間と、真似したくなるヒントがあった。
趣味の数だけ新しい景色がある。
暮らしの中で心を豊かに保つ術




取材に訪れたのは、どこまでも青い空が広がるドライブ日和だった。閑静な住宅街に現れたひと際目を引く赤と青のフォルクスワーゲンの持ち主こそ今回の主役である原さんご夫妻だ。「僕が赤で、妻が青に乗っています」とうれしそうに話すのは、ご主人・宗明さん。互いに初めて買った車がこのフォルクスワーゲンで、奥さまは17年、ご主人にとっては22年来の愛車だというから驚く。「維持費が高くて故障が多いとか言われますが、数年で乗り換えることを考えると、ずっとエコでしょ? 」と笑う。
普段は会社員として忙しい毎日を送るご主人と、花屋で働く奥さまの愛子さん。仕事の休みは合わないものの、車やロードバイクのイベントが開催される際には、可能な範囲で調整し、一緒に参加しているとか。一方、ひとりの時間はどのように楽しんでいるのかと尋ねると「休みの日、主人は朝からバイクで出かけて、午後に一度家に戻ってきたら、今度はロードバイクに乗り換えて出かけていくんです(笑)。私も勤務先まで片道1時間の道のりをロードバイクで出社することもあります。車ならなんてことないんですが、自分の足で漕ぐと目的地にたどり着いた、というだけでうれしくなります」と話す奥さま。その言葉に、道具は使ってこそ意味があると改めて思う。持っていることに満足するのではなく、ライフスタイルに取り入れ、使いこなすこと。すると、今までとまったく新しい世界が顔を出す。実は、ご主人の趣味は車だけでなく漫画、プラモデル、アメリカン雑貨、洋服と多彩だ。その一つひとつが暮らしの中で大切に生かされている。おふたりにとって〝趣味〟は単なる娯楽ではなく、何気ない日常に豊かさを見出すための最高のフィルターなのだ。


