素敵な人は、「暮らし」もきっと素敵なはず。
毎月1軒のお家にお邪魔して、熊本で素敵に暮らす人たちのライフスタイルをのぞき見。
そこには住む人たちそれぞれの居心地の良い空間と、真似したくなるヒントがあった。
珈琲・紅茶と手作りスイーツに添えられた
細やかな気遣いに心ほぐれる場所




「阿蘇の森の中にいいカフェがある」と、噂には聞いていたけれど、住宅街の一角に佇む住まいの軒先に『瑞季』の文字を見つけた瞬間、思わず心が躍った。
自慢じゃないが〝おいしいもの〞がある場所は、直感的にわかる。
扉をくぐると暖炉の揺らめく炎と焼き上がったばかりのスコーンの香りに心が躍り、直感は確信に変わった。
噂のカフェ『瑞季』を切り盛りする林さんご夫妻は、2013年に関西から熊本へ移住。
大学職員として勤務していた夫の寛さんと、カフェ巡りが大好きで関西では司会業をしていたという奥さまの明子さんは「老後は暖かい場所でゆっくり過ごしたいね」なんて言いながら、旅行で訪れた阿蘇の地にひと目ぼれ。
「機械を相手に生きるより、自然を相手に生きたいという想いもありましたが、正直心を決めたら動かずにはいられない性質なんです(笑)」と軽妙な語り口で話すのは、50歳目前に早期退職を決めたという寛さん。
一方、お菓子作りが趣味で、独身時代には紅茶の資格も取得していた奥さまにとってカフェ経営は、長年の夢。
「当初は大人のリラックスカフェをコンセプトにしていたんですが、今は10代、20代の常連さんもわざわざうちに足を運んでくださる。年齢を問わず〝居心地がいい〞と言ってもらえるのはうれしいです」と満面の笑顔を見せる明子さん。
パートナーがずっと心に描いていた夢を夫婦で追いかける林さんご夫妻。
鳥のさえずりがどこからともなく聞こえてくる阿蘇の森の中で、おふたりは今日もとっておきのデザートと挽き立ての珈琲を用意して訪れる人を待っている。


