素敵な人は、「暮らし」もきっと素敵なはず。
毎月1軒のお家にお邪魔して、熊本で素敵に暮らす人たちのライフスタイルをのぞき見。
そこには住む人たちそれぞれの居心地の良い空間と、真似したくなるヒントがあった。
今月はもう一軒、農家を営むお宅にお邪魔した。
和モダンなインテリアとお気に入りのアンティーク家具。
笑顔の絶えない仲良し家族がほっとできる心地いい空間だった。
土の中の声なき声に耳を澄まし
自分の感性に正直に生きる




純日本風の建物の中に、海外のアンティーク家具、ところどころに効かせたアクセントカラー……、住む人のセンスが滲む空間に思わず息を呑む。
ここで暮らすのは、大根農家を営む福島さん一家。
「家のサイズに合わせて家具を選ぶよりも楽しめるかなと、家づくりを始めて真っ先に家具を買いました」と話すご主人の康友さん。
念願の家具を軸に丁寧に作り上げた空間には、一家のパーソナリティやアイデンティティがしっかりと宿っている。
中学生の頃から美容師を志し、実際に美容師として活躍していた康友さんが、祖父母から農家の仕事を受け継いだのは約8年前のこと。
「きっかけは祖母の骨折でした。休みのたびに手伝いをしていたら、慣れ親しんだ農業への思い入れがどんどん強くなり、結婚を機に転職をしたんです」。
農業の面白さを「完成系がすぐには見えないところ」と話す康友さん。
今では、夫婦そろってファンであるNBAのバスケットボールチームの話をしたり、子どもの成長ぶりを喜び合いながら夫婦で畑仕事をする日々。
「あんなに好きだった美容師の仕事を辞めて農家になると聞いたときは、さすがに驚きました。でも、今思えばいつでも家族と一緒に居られる仕事を選んでくれたのは有難かったですね。息子も一緒に畑に行くと、虫取りや穴掘りなど自分で遊びを作り出して楽しんでいます」と奥さまの美穂さん。
ともに年月を重ねる中で、次第に夫婦の趣味も似てきたようで「例えば私たちは、常にサロペット(笑)。
ペアルックにしたいわけではないんですが……」と笑う。
自分たちの手で暮らしを心地よくする術を知る福島さん一家は、今日も土の中に眠る野菜たちの声にならない声に耳を澄ましながら畑に立つ。
大好きなサロペットを着て。


