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食にこだわる生産者

【食にこだわる生産者Vol.3】『なかはた農園』山川 登さん

国内でも稀にみる水のおいしさを誇る私たちの熊本県。野菜や果物などにとってこれ以上なく恵まれた環境の中で、常に安全安心な食の提供に研究と努力を惜しまず、最高品質を目指す農業生産者を紹介しています。

  • 情報掲載日:2020.01.14
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

「人の力、ITの力で生産性アップ。働きやすい環境も、美味しいイチゴづくりに欠かせません」

『なかはた農園』 中畠 由博さん (写真中央)。農園』の2代目。継ぐ予定はないものの、自然と農業系の学校や会社に進み、9年前に就農。6年前に社長に就任。奥様の友美さん(写真左)、スタッフの長澤静香さん。
『なかはた農園』 中畠 由博さん (写真中央)。農園』の2代目。継ぐ予定はないものの、自然と農業系の学校や会社に進み、9年前に就農。6年前に社長に就任。奥様の友美さん(写真左)、スタッフの長澤静香さん。
ハウス環境の見える化で、目指すは「光合成の最大化」

 真っ赤で歯ごたえも良く、甘みと酸味のバランスが絶妙な『なかはた農園』のイチゴ。近頃は、ジェラートやグラノーラ、ビールなどの加工品や、ホテルのレストランで扱われるほど。今、注目のイチゴ農家の一人が中畠由博さんだ。一体、どんな環境でイチゴを栽培しているのか? お邪魔してみると、山都町ののどかな山間にビニールハウスがあった。「平地に6反のハウスがあるのは普通のことですが、山間地の離れた場所に点在するハウスは稀なんです」と中畠さん。天候に左右されるハウスの状態を見て回るだけでも大変なこと。ましてや、水やりや温度調整など、手動で行っていた数年前は、朝から晩まで働き、休みもなく、家族で過ごす時間がなかったという。「実は、家族との時間を大切にしたいと思って会社を辞めて就農したので、あれ?って……。これじゃダメだと思って、『熊本農業経営塾』に通い経営の勉強をして、就農して3年目に経営権を父親に譲ってもらいました」。譲ってもらって初めて知ったのは、父・秋吉さんの努力。「実は、もっと給料が減りましたね(笑)」と当時を振り返ります。
 家族経営にありがちな落とし穴に陥っていた中畠さん一家。「自分たちだけでは手が回らず、結果的に非効率なことが起きていました。どうやったら作業を17時に終わらせられるか。最初の数年はそのことに頭をフル回転させていましたね」。そしてたどり着いたのが「自動化」だ。水やりや自動開閉、光合成促進などを自動化した。一体、どれだけの経費がかかるか、考えるとゾッとするが……。「先輩たちに教えてもらって、出来るだけ手作りしたんです。設計図もざっくり。1/4の予算で完成しました」と、意外な答えが返ってきた。お金をかけられない分、自分が動けば良い! そんなプラス思考を発揮し、無事に自動化を実現したのだ。省力だけでなく、こまめな管理が出来るようになったおかげで、ハウスの環境も安定。携帯で温度や湿度をチェックできるので、ハウスを見回る労力は減った。「こうしたハウスの環境制御技術によって、光合成を最大化させることが出来れば、甘くて大きくて、皮の厚い、病気にも強いイチゴになるんです」。

葉の大きさもポイントで、若々しく長生きする小さい葉がベストという
葉の大きさもポイントで、若々しく長生きする小さい葉がベストという
就農後のさまざまな「気づき」が学びのキッカケに

「納得のいく品質が出せるようになったのは、ここ2〜3年です」と中畠さん。就農後1〜2年は営業を担当。取引先に「イチゴの特徴」を尋ねられ答えに詰まったという。今では、連日お客さんが耐えない観光農園をはじめたのもこの頃。「お客さんに喜んでもらえることが、生産者の何よりの喜びですが、当初はお客さんに『別の農園のイチゴが美味しかった』と言われることも……。ショックでした」。そこで気づいたのが、「うちのイチゴはまだまだなんだ」という事。それから数年は、技術力向上、設備投資などに時間をかけた。その努力が実を結び、納得のいくイチゴが出来るようになり、観光農園も大盛況。毎年、シーズンを楽しみにして足を運ぶお客さんが増えたという。

見るからに美味しそうなイチゴたち。イチゴ狩りでお腹いっぱい食べても、お土産に買って帰る人が多いほどの人気
見るからに美味しそうなイチゴたち。イチゴ狩りでお腹いっぱい食べても、お土産に買って帰る人が多いほどの人気
発想の原点は「どうやったら喜んでもらえるか」

 中畠さんと言えば、さまざまなコラボイベントを行ったり、メディアにも取り上げられたり、「いつも何か面白い事をしている」という印象。そのキッカケは、『ホテル日航熊本』が食育活動を行うために協力農家を探していたところ、『なかはた農園』に繋がり、2017年に現総料理長・中野シェフと開催した親子向けの食育イベントだ。その活動は、中畠さんをはじめ、山都町の有志で結成した『山都でしか』に引き継がれ、現在も続いている。「観光農園や体験イベントなど、すべてサービス。どう楽しんでもらえるかを考えると、アイデアが生まれるんです」。わざわざ足を運んでくれるお客さんの多くはファミリー。親子での時間がより楽しく、思い出になるように、中畠さんは考えているのだ。
 集落の課題にも積極的で、昨年7月に『バックカントリーラボ』を立ち上げた。取り組むのは「耕作放棄地の活用」。「地区で後継者は私だけ。校区単位でも5人しかいません。耕作者がいなくなるのは一目瞭然です。でも『自分たちで好きな事が出来る』というプラスの発想に転換させるんです」と前向き。異業種でコラボしたプロジェクトもスタート。集落営農法人の設立も準備中という。聞けば聞くほど、出てくる出てくる……、中畠さんには立ち止まっている暇はないのだ。

木々に囲まれた場所に佇む観光農園。 イチゴ狩りは12月〜GWまで営業
木々に囲まれた場所に佇む観光農園。 イチゴ狩りは12月〜GWまで営業
なかはた農園

Tel.0967-72-9222
HPは「なかはた農園」で検索

【販売先】
なかはた農園(山都町)
イチゴ狩り12月〜GWまで営業(9:30〜17:00、火曜休み)

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