その圧倒的な歌唱力と比類のない歌声が〝泣ける〞と評判を呼び、聴く人に癒やしと涙を与える林部智史。これまではポップスを中心に歌ってきたが、昨年9月から叙情歌を歌う企画ツアーをスタートし、3月には菊池市文化会館でコンサートを開催するなど、精力的に活動を続ける彼に話を聞いた。

―「はやしべさとし 三十歳の旅立ち 〜叙情歌を道づれに〜」コンサートツアーですが、どんな雰囲気になっていますか?
個性は前面に出さず、歌い手というところに徹しています。ポップスを歌うコンサートとは違い、温かい空気で聴いてくださっています。
―林部さんは今30歳なんですね。
はい。若くして叙情歌を歌う難しさもありますが、 歳の僕がそういう活動をしているということに意味があるんじゃないかと思っています。ステージで小学生と合唱した時に、ある女の子が『赤とんぼ』を人一倍大きな声で歌っていて、みんなすごくほっこりして。60〜70代の皆さんが僕に対して思う気持ちも似たようなものがあるのかなと。
―オリジナルの叙情歌『あの頃のままに』も歌っているそうですね。
東日本大震災や熊本の被災地で生の声を聞く機会があったのですが、その中でとても心に残っている話があって。悲しい事や辛い事を乗り越える必要はなく、耐えるのも生きるということだと。その話から『あの頃のままに』が生まれました。熊本で歌う意味は自分の中でも大きく、皆さんに何かしら少しでも届けられたらいいなと思います。