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TANKUMA SPECIAL INTERVIEW

【TANKUMA SPECIAL INTERVIEW】写真家・石井麻木

写真展「3.11からの手紙/音の声」で来熊

  • 情報掲載日:2019.12.14
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

やわらかい物腰、おだやかな口調。温和な印象を受ける彼女が、没頭しているライフワークがある。
それは「被災地を撮り続けること」。被災地の現状を伝える写真展は全国各地で開かれ、10月にはトヨタカローラ熊本 東バイパス店でも開催。トヨタカローラの西社長も石井さんの想いに共感し、開催を支援。今回の写真展が実現した。 展示作品には東日本大震災、そして熊本地震の写真もあった。「写真は写心」。そう定義づける彼女の写真に、どれくらいの人が胸を打たれただろう。

石井麻木(いしい・まき)

写真家。1981 年 東京都生まれ。CDジャケットやミュージシャンのライブ写真、アーティスト写真、本の表紙、映画のスチール写真などを手掛ける。東日本大震災直後から東北に通い、現地の状況を写し続ける。毎年個展を開き、全国各地を行脚。詩と写真で綴る作品は反響を呼んでいる。月命日には仮設住宅を訪れるなど、活動の域は多岐に渡る。

人間はどうしても忘れてしまう生き物だから、伝え続ける

熊本地震の時も支援に来られたんですよね。

 熊本に入ったのは地震の4日後です。鹿児島のライブハウススタジオの仲間たちと、物資を積み込んで車で向かいました。ナビで案内された道はほとんど通れなくて、迂回しながら益城に入りました。大雨で土砂災害の危険もあったし、物資を届けるしかできなくて。できたことといえば、情報の伝達ですね。買い物できる場所やお風呂の情報など、みなさん困っていることを集約して発信しました。

被災地としてありがたいです。なぜ、そんなに熱心に災害支援ができるのですか?

 考えるより先に体が動いちゃう性格なんです。東北の震災があった時も、気が付いたら物資をかき集めて現地に向かっていました。その場でできることを全力でしたいだけです。

石井さんが復興の写真を撮り続けているのはなぜ?

 人間はどうしても忘れてしまう生き物だから、風化しないように伝え続けたいんです。押しつけがましくはなく。3月11日が近づいてくると報道が多くなるけど、過ぎたらぱったりとなくなったり……そういうのがもどかしかったりします。被災された方たちの生活は、その日だけでなく毎日続いていることなので。

写真展は全国各地で行われていますね。大変でしょう?

 多い時は年に10回程開催しています。月2日くらいしか家に帰れないですね(笑)。経費もすべて自費なのでとても大変です。開催中は、この一枚の写真で誰かを傷つけてしまうんじゃないか、辛くなってしまわないか、と苦しくなったりもします。現地の方の「写して伝えてほしい」の声がなければ写すことはなかったと思います。

細美武士さん(ELLEGARDEN、the HIATUS、MONOEYES)やTOSHI-LOWさん(BRAHMAN)と支援をともにするようになったきっかけは?

 東北で活動していたら「あ、またいた」って、現地でよく顔を合わせるようになって。自然と一緒に活動するようになりました。BRAHMANさんはもともとライブ撮影とかをしていたのもあったんですけどね。

益城町にたくましく咲いていた花(撮影:石井麻木)
益城町にたくましく咲いていた花(撮影:石井麻木)

「写真」は「写心」。
心を写しだす一枚を

東北の写真を撮っていて、嬉しかったことは?

 震災の翌月、避難所にも入れなくて、一カ月お風呂にも入れなくて、トラックで寝泊まりされているご夫婦との出会いがありました。「すべて流されて写真が一枚もない。新しい一歩を踏み出すために、最初の一枚を撮ってくれませんか?」と声をかけてくださったんです。写真ってそんな役目も果たせるんだ、と嬉しくなりました。他にも、会いに行くと喜んでくれたり、温かく迎えてくれる家もあります。会いたい人に会いに行ってる、という感覚です。

石井さん、「写真」は「写心」と表現をされていますが、どういう意味でしょうか?

 私の写真、感情が写り込むんです。泣きながら撮った写真は泣いてるような写真になっているし、笑って撮った写真は、楽しい感じが伝わる、と言われることも多くて。そして、写す人やものの背景も映ってしまう。

被写体の「心」も映し出すんですね。石井さんの写真は笑顔のものが多いですね。

 私には涙の写真は撮れません。ご遺体安置所も撮れませんでした。もちろん現実を伝えることは大事ですが、報道カメラマンではないので……。カメラは時には暴力にもなってしまう。悲しみに暮れる方にいきなりカメラを向けて悲しませることのないように気を付けています。笑顔の瞬間を多く写し残したいです。

ライブの写真も躍動感があります。

 私、音楽がないと生きていけなくて。復興支援ライブとかで、みんな涙と笑顔でぐちゃぐちゃになるじゃないですか。こんなに音楽に支えられている人がいるのか、って。本当のリアルな熱を加工することなく伝えたい。

この活動は続けますか?

 立てなくなるまでは届けたいなと思います。続けるのが一番大変で一番難しいけど、一番大切なことだと思うんです。

細美武士、TOSHI-LOWが見る写真家・石井麻木とは?

写真展の最終日には細美武士、TOSHI-LOWが駆けつけ二人のユニット“the LOW-ATUS”によるスペシャルライブを開催。二人に彼女の印象を聞いた。

細美武士×TOSHI-LOW、南阿蘇にて(撮影:石井麻木)
細美武士×TOSHI-LOW、南阿蘇にて(撮影:石井麻木)

TOSHI-LOW:写真っていろんな種類があって、リアルを切り取る人もいれば、アーティスティックな写真撮る人もいる。麻木の写真は心が温まるんだよな。

細美:麻木のいいところは、頑張り屋さんでストイックで真面目なところ。でも頑張りすぎて、見ていて心配になる時も正直ある。周りの力をもっと借りていいんだぞと。もちろん俺らの力もね。

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